こんにちは。
よつ葉ロープシステムの「yotsuba-papa」です。
前回の投稿から約1年半経ってしまいました。
これまで副業としてやってきました「よつ葉ロープシステム」ですが、今月より本職として頑張っていくこととなりました。
立場は変わっても、目的は変わらず「高所作業による災害発生が『ゼロ』になるよう働きかけ続けること。そして、自分自身が必ず無災害で家族のもとに毎日帰ること」です。
今後ともよろしくお願いいたします
さて、今回は、スリングの話です。
はじめに
スリングは、帯ヒモ状の化学繊維(ポリエチレン・ナイロン等)をリング状に縫製したアンカー用の器具で、ロープを吊元に取り付ける際に、鉄骨などの支持物に巻き付け、カラビナを用いてロープと結束します。
鉄骨などの角のある吊元に直接ロープを巻き付けると、ロープの折れ曲がりによる損傷の危険性があるため、スリングは、カラビナと同様に使用頻度の高い器具ですね。
使用するスリングは、カラビナとの相性も考慮し、幅20mm前後のものが良いと思います。破断強度は22kN以上のものを使用しましょう。
注意点
スリングの使用においては次の点に注意、厳守してください。
- 本体・縫製の状態に異常がないか確認する
- 切れ目・ほつれ・熱や化学繊維による損傷がないか確認する
- 上記のような異常があるスリングは使用を中止し、破棄すること
- 2本以上のスリングを直接接続して、使用しない(結び目の摩擦熱により、スリングが損傷する恐れがある)
- スリングが鋭利な構造物等に接触する恐れがある場合は、ロープ同様、スリングにも養生を施し、切断防止措置を行うこと
- スリングの吊元への取り付けでは、荷重が掛った時に「ずれ」が生じたり、他の箇所にひっかかったりしないように配慮をする(取り付け時に引っ張って荷重テストを行うこと)
- 過度に汚れたスリングはそのまま保管せず、水やぬるま湯で洗い、陰干し乾燥させること(汚れたままの使用は、スリングの繊維を傷める恐れがある)
- 保管する場合は、直射日光や高温を避けること
- スリングには衝撃吸収性がない為、スリングをフォールアレスト用ランヤードや、安全帯フック用ランヤードとしてしようしてはならない
スリングのまとめ方(携帯方法)
スリングには使用する箇所や状況に対応する為、様々な長さがあります。
私は普段「30cm・120cm・150cm・180cm」の長さを使い分けています。時には「240cm」なんて長さのスリングを使用します。
使用頻度の高いスリングなだけに常に携帯しておく必要があります。
ただ、長さのあるスリングをフルボディハーネスの腰部分にそのままぶら下げるわけにもいかないですし、まとめて結ぶだけでは、ごわついて不格好ですし。
そんな携帯不便なスリングのまとめ方を2・3おすすめします。
チェーンノット
まずは、チェーンノットでまとめる方法です。
スリング自体の長さも短くまとめれて、なにより、スリムにまとめることができる為、スリングを数本携帯していてもごわつかないのが特徴です。
まとめ方
上の図のように同じ動作を繰り返すだけなので一度覚えてしまえば、簡単です。
唯一、難点をあげるなら、少し時間がかかることです。
作業中、ロープを設置する場所を移動する度にチェーンノットでスリングをまとめている時間はないのが現実ですよね。
ばらし方
チェーンノットは、まとめる時とは逆に、まとめている状態を解除するのは、あっという間です。
図のように一気に引っ張るだけです。
チェーンノットでスリングをまとめるのは、作業終了後にスリングの痛みや状態を確認しながらゆっくりと片付ける時に向いているかもしれません。
ねじり
つぎは、スリングをまとめる時間を短縮しつつ、コンパクトに携帯する方法です。
正式名称はわかりませんが、私は勝手に「ねじり」とか「ぐりぐり」と呼んでいます。
まとめ方
図のようにスリングを3つの輪にし、重ねます。
その輪にカラビナを掛け、ぐりぐりとねじり、もう一度カラビナに掛ける。それだけです。
チェーンノットに比べると、圧倒的にまとめる時間を短縮できます。
ばらし方
カラビナをまとめているスリングから抜き取ってしまえば良いだけです。
チェーンノットのばらし方のように、スリングとカラビナを分離させずにばらすことができないのが難点でしょうか。
高所にいるとき、この方法のようにスリングとカラビナを分離させると、どちらかを落としてしまう危険性が高まることも無視できないですね。
よつ葉ねじり
「チェーンノット」のばらし時のスリングとカラビナを分離しなくてよい利点と、「ねじり」のまとめ時間の短さを併せ持ったスリングのまとめ方を考えてみました。
まとめ方
「ねじり」との大きな違いは、初めからスリングにカラビナを掛けておくことです。
図の⑥に黄色い円を重ねて、そこに指や手を通し、ぐりぐりとねじって、もう一度、カラビナに掛ける。
まとめる時間は「ねじり」とほぼ同じです。
慣れるとこちらが、少し早いかも・・・。
ばらし方
このばらし方は、カラビナとスリングを完全に分離する必要がない利点があります。
最大のコツは、ばらし方の図の②~③の時にカラビナから抜き取るスリング(3輪分)が、まとめ方の図の⑬~⑭の時にカラビナに掛けたスリング(3輪分)と同じでなければいけないことです。
これが上手くいけば、チェーンノットのばらし方のようにスリングを引っ張るだけです。
追記
カラビナとスリングのセットは、ロープを支持物に結束するうえで無くてはならないものです。
しかし、カラビナもスリングもそれぞれが独立した器具ですので、使用者自身が正しく組み合わせ、管理する必要があります。
上の図の②では、カラビナが破損する恐れがあります。
図の③では、カラビナの破損だけでなく、スリングが断裂する恐れもあります。
これらの状態では作業者の命が危険にさらされている状況なのです。
意外と頻繁に起こる状態なので、常に気にしておいてください。
よつ葉ロープシステム