「yotsuba-papa」の『ロープでお仕事』ブログ

ロープを使って仕事をする「yotsuba-papa」がもっと安全でわかりやすいロープ作業「可動式ワークポジショニング・ロープシステム」を広めていくことに奮闘しつつ、高所作業による災害発生が『ゼロ』になることを懇願するブログです

可動式ワークポジショニング・ロープシステム(MW-RS)って「ロープアクセス?ロープ高所作業?」

 

 

はじめまして 

 

よつ葉ロープシステムの「yotsuba-papa」です。

 

可動式ワークポジショニング・ロープシステム(MW-RS)を広めるべく、このブログを始めました。

 

「・・・?可動式・・・?」「なんだ?それは?」ですよね。

 

「可動式ワーク・・・」の説明は後ほどとして、私、とある会社で従業員としても働いています。

 

私の勤める会社はビルメンテナンス業です。

ビルや構造物の窓ガラスや壁面等のクリーニングを主な業務として、私は、勤務時間の多くを「高所」で過ごします。

 

いわゆる高所作業ですね。

 

高所作業

高所作業とは、作業床(作業を行う場所)が地上や安全な床面から2m以上の高さの場所で行う作業のことです。そこでは、安全を確保するために労働安全衛生法で定められた規則・基準を順守しなければなりません。

 

地上から2mの高さといえば、たいしたことないように思えますが、

そこから先、ずーっとが高所作業者の仕事場なんです。

もし、東京スカイツリーの先端で作業する方がいれば、彼の作業場は、地上634mの場所なんですね。

 

この地上2mから634mの空間には、多くの業種の高所作業者の方が働いています。

 

私のようなビルメンテナンス関係の方や鳶職人さんをはじめとした建設・建築関係の方。電気やネット配線工事の方や高速道路や橋の点検をされる方。イベントの設営や遊園地のアトラクションの点検なども高所作業で行われるんでしょうね。

その他にも、多くの業種の方が老若男女関係なく、高所で汗を流されているのだと思います。

この記事をご覧になっているあなたは、日々、どのようなお仕事をされていますか?

もしかして、高所作業の方ですか?どんな業種の方ですか?そして、どんな手段で高所に居ますか?

いろいろありますよね。

足場やゴンドラ、リフトや高所作業車、縄バシゴなんてのもあるでしょう。

電柱や鉄塔に設置されたラダーをぐいぐい昇って行ったり。すごいの一言です。

そんな私もロープに自身の身体を預けて高所で作業をしています。

 

ロープ高所作業

現在、日本国内でロープによる高所作業を行うには、「ロープ高所作業特別教育」を受講することが義務付けられています。(平成28年7月1日施行)

危険が伴う作業ですので当然ですよね。

もちろん私も受講しました。大人げなくもワクワクしながら受講会場に向かったのを覚えています。

しかし、定められている「学科教育4時間」「実技教育3時間」を終えた後の虚しさと言いますか、悲しさと言いますか・・・。

実は、私、ロープ高所作業特別教育の受講が義務化される以前から、自身のスキルアップのために取得したいと思っていた国際資格があったんです。

「irata」というイギリスに本部を置く、国際的な産業ロープアクセス業者協会の資格です。

この資格、レベル1~レベル3まであり、6日間の座学・実技講習・試験があるようで、見事資格取得後も3年毎の更新トレーニング制度を設け、その技術の標準化と技術レベルの維持に努めなければならないという。

これぞ、まさに、ロープアクセスプロフェッショナルだなと思っていました。

肉体的・精神的・人間的にも尊敬すべき人達なんだろうなーと憧れさえ覚えていました。

もちろん、今でもその思いは消えてはいません。

そんな中、「ロープ高所作業特別教育 受講義務化」の話が、会社を通して、私の耳にも届いたのです。

自分なりに「ロープアクセス」とはなんぞやを調べ、先輩から伝え教わった古き悪しきものを捨て、器具を換え、勤務後、会社の駐車場にある高所作業車を利用し練習、帰宅し、器具を握りしめ、妄想。

私の頭の中でキラキラ輝く「ロープ高所作業特別教育受講」への期待が膨らんでいきました。

そして、「ロープ高所作業特別教育受講」当日。

・・・上記に記したとおり、私の期待は大きく打ち崩されたのでした。

 

ロープ高所作業特別教育の問題点

 

あくまで私の受講した講習後の私の個人的な感想ですが、一言でいうと「この講習では、ロープ高所作業者の初心者にさえもなれない」です。

私は、この業界に身を置いて約20年になります。それでも、ロープ作業をはじめとする高所での作業における知識や技術は、日々新陳代謝だと感じています。

今でも、より確実な無災害を目指すために、毎日家族のもとに無事帰るために、自分の知識やスキルを見返し、ロープ作業者としての自分自身を更新していかなければと思っています。

私が受講した「ロープ高所作業特別教育」の講習は、4時間の座学時間内に与えられたテキストの内容をスラスラと目を通していき、3時間の実技教育時間内でロープや器具類に交替で触れ、2m程度の高さでロープにぶら下がり降下する体験を行うというものでした。一人あたりの実質実技時間は10~15分程度でしょうか。

その後・・・。その後は、なく。

それで特別教育修了証が発行され、講習終了です。

筆記試験も実技試験もなしです。

私が講習で使用させていただいたテキストは、知っておかなくてはならない関係法令や使用する器具類の説明など、ロープ高所作業とは何ぞやを知るための内容がしっかりと記載されていました。

(何ヵ所か「おやっ」と思う内容の箇所もありましたが、それは、また別の記事で)

しかし、このテキストを一字一句逃さずに暗記したとしても、実作業を始めれるようにはならない。私は、そう感じました。

実際、私は、他県の業者さんからロープ高所作業の応援要請をいただき、現地に伺い、「ロープ高所作業特別教育」の恐ろしさを目の当たりにしたことがあります。

その日、現地でお会いした「彼」は、その当日が初めてのロープ高所作業の日であるとのことでした。

早速、私は、「彼」が使用しようとしている器具を拝見しようとすると、こちらに向かっている「彼」の仲間の車に積んであるハズだと言うのです。

詳しく話を聞いてみると、その日、ロープ高所作業を行うのは「彼」独りの予定で、こちらに向かっているのは地上監視員。なおかつ、「彼」はロープ高所作業初挑戦で、さらに、「彼」の会社が「彼」に用意したロープ高所作業の器具類は、購入したての段ボール入りの状態なのだと言うのです。

「彼」の仲間が到着し、「彼」は、「彼」が使用する予定の器具たちと初対面を遂げました。

「彼」は、目の前にある数々の器具を眺め、白い固そうなボウル状のものが「ヘルメット」だと理解するのが精いっぱいでした。

そのほかの器具については、テキストの中の写真や図で見たような気がする、何の道具なのか全くわからない、と言うのです。

「ロープ高所作業特別教育」を受講し、修了証を発行されたのに、もっとしっかり「ロープ高所作業」の勉強をしなかった「彼」が悪いと思いますか?

ロープアクセスなどの高度なロープ技術の世界に自ら飛び込んだ方はもちろん、上司や先輩に(正しいロープ技術ではなかったかもしれないが)作業の方法や器具類の使用方法を時間をかけ教育してもらった私たちは、「ロープ高所作業特別教育義務化」において「それ」を受講する際、それぞれなりに興味を持ち、自ら学んだでしょう。(そうでない方もいるかもしれませんが・・・)

しかし、「彼」や、「彼」と同じような状況の人たちは、違うのです。

「彼」は、「ロープ高所作業」など興味はないのです。勤める会社の業務のひとつとして、その日現地に訪れただけなのです。

「彼」の勤める会社は元々、床清掃や内窓の清掃をメインとしていたそうです。しかし、「彼」の会社の本心は、外窓の清掃も自社で行いビルまるごとの清掃業務を請け負いたかったのです。

そんな中、「ロープ高所作業特別教育」受講の義務が施行されたのです。

ロープ作業の経験者など一人も在籍していなかった「彼」の会社は、従業員に受講させ、公に認められた「ロープ高所作業者」となった従業員に「ロープ高所作業」による窓清掃業務を行わせることができると思ったでしょう。

間違った考えではないですよね。

「彼」の会社は、従業員を「ロープ高所作業による窓清掃」という新たな業務に就かせるために「ロープ高所作業特別教育」という教育を受けさせ、それに必要な器具を準備したのです。

つまり、「ロープ高所作業」についての知識や情報などなかった「彼」の会社は、「ロープ高所作業特別教育」を受講させることにより従業員が「ロープ高所作業」をマスターし、実業務を行うことができるようになると思ったのです。

まず、会社が選んだのが年齢も若く体力もありそうな「彼」だったのです。

会社から「ロープ高所作業特別教育」の受講を打診され、高いところが怖いわけでもないと思っていた「彼」は、それを受講し「ロープ高所作業」の業務に就くことで給料もアップするとなれば、快諾しないわけがありません。

「彼」もまた、「ロープ高所作業特別教育」を受講することにより「ロープ高所作業」をマスターし、実業務を行うことができるようになると思ったのです。

私が思う現状の「ロープ高所作業特別教育」の一番の問題点は、まさにここにあるのです。

「ロープ作業」など未知数のものであった人や団体にとってみれば、「ロープ高所作業特別教育」は「ロープ高所作業」にとっての免許皆伝に思えるのです。「それ」さえ、しっかりと受講すれば・受講させれば大丈夫だと。

自動車運転免許証でいうところの「長々と教習所に通い、免許試験所で検定試験を受け、見事運転免許証を発行される」。これが、一日で完了するのです。

経験者からすれば、そんな訳ないですよね。あり得ないです。

 

ところでロープ高所作業初挑戦を迎えた「彼」は、どうなったのでしょう。

装着系の器具一式を身に着け(させ)、その他の器具を屋上に搬入しました。

私ももちろんロープ作業の実作業ができる状態です。

まず、パラペット(屋上の端)付近の丸環に、転落防止として安全帯フックを取り付け(させ)、下方(地上)と地上までの壁面突起物等の有無を確認(させ)・・・。

「彼」は、ほぼ思考停止の状態です。

約40mほどの高さのビルの屋上でしたが、自分がここからロープを使って、窓清掃をしながら降りていかなければならないという実感が湧いてきて、頭の中が真っ白になったのです。

屋上の高さに慣れることも踏まえ、そのビルの屋上の安全な場所で、「彼」に「彼」の物となった器具たちの説明を1時間ほどかけ行い、ロープの結び方、墜落阻止器具(俗にいう命綱の一種)・下降器(ロープ上を降下していくための器具)の扱い方のレクチャーをさらに1時間ほど。このビルにおいてのロープのセット方法の解説などをまた1時間。

少しずつ屋上に「居る」ことには慣れてきて、落ち着いてきた様子でした。

さて、このビルは、窓清掃という業務のために来ているのです。

屋上で「ロープ高所作業」のミニ講習をしただけで作業完了証にサインを頂けるはずはないですね。

ロープを降下していくまでの段取り・手順をひとつひとつ手ほどきし、これまた1時間近くかかり降下開始の状態までたどり着きました。

この様子は、テレビのバラエティ番組なら笑ってよいところなのでしょうが、私は「彼」が気の毒で仕方ありませんでした。

「彼」の表情にはっきりと「こんなはずじゃなかった」と表れていました。

それから、「彼」は、私の横でゆっくりと約40mのビルを1時間かけて降下していきました。この日、「彼」は、ほとんど窓清掃業務を遂行できませんでした。

下降器を握った左手、ロープを握りしめた右手を離して、窓清掃の器具に持ち替えることを「彼」の恐怖心が許してくれなかったのです。

窓清掃は、私がほぼ行いました。仕方ない。

「彼」は、この日、とても頑張ったと思います。ただ言えなかっただけかもしれませんが、一度も「無理」とは言わなかったのです。

こんな「彼」も、この時には既に「ロープ高所作業特別教育修了者」だったんですよね。

あの日、「彼」は、本当に独りで「ロープ高所作業初挑戦」を迎えていたらどうなっていたんだろう。真面目そうな、いいヤツって感じの若者だったから、何時間か恐怖と戦って、無理にでもどうにか作業しようとしてたかもなーと思うと怖くなります。

 

自動車運転免許取得のように

「彼」のような状況に立たされたロープ作業者は、少なくないと思います。

しかし、現状、誰が悪いとかなどは論点ではないと思います。

問題点が露呈したのなら、的確に対策していくべきです。

すでに、先に記した「irata」やロープアクセスに熟練した団体や講師の方たちは、それぞれが行っている講義やトレーニングのなかに「ロープ高所作業特別教育」を組み込み、「ロープ高所作業特別教育」を修了し、尚且つ「それ」以上の知識や技術を習得したロープ作業者を育成されているようです。

しかし、1日の講習で「ロープ高所作業特別教育」が修了できてしまう現状では、上記のような講習やトレーニングを受けるのは、自ら学び・鍛錬する意志のある方でしょう。

ロープ作業による労働災害は、発生しています。労働災害は徐々に減ればよいというものではありません。1件もあってはならないのです。

「今年は、労働災害が1件だけだったから、よかったね」と笑えますか?

その「1件」があなたの大事な人だったら?

ロープ作業における労働災害の原因に「初心者の知識・技術力不足」「経験者の慣れや怠慢、新しい器具・技術に対する適応不足」が含まれているのは否定できません。

ロープアクセスはもちろんのこと、「ロープ高所作業」は、特殊な作業です。

現状の「ロープ高所作業特別教育」では、ロープ高所作業者の初心者にさえもなれません。

しかし、「ロープ高所作業特別教育」は不必要だとは決して思いません。「それ」は、ロープ作業で実作業を行う者にとっても必要な知識ですし、何より、実作業は行わないが「ロープ高所作業」に関係してくる人も、知っておかなくてはならない知識だと思います。

ロープ作業を業務としている企業や団体の代表者・責任者、ロープ作業による何らかの作業や工事等を発注する管理会社や建築物・構造物の所有者等、ロープ作業に伴う地上監視や誘導等を請け負う警備員等が該当するでしょうか。

あえて名称を変えるなら「ロープ高所作業管理者特別教育」でしょうか。

そして、ロープ作業の実作業を行おうとする者が学び、習得すべき資格は、「ロープ高所作業技能講習」の修了資格となってくるでしょうか。

例えば、自動車運転免許取得のように、知識や技術は数時間~数日かけて学ぶ必要があるでしょう。そして、一定以上の知識と技術力や応用力を習得し、試験に合格しなければ「ロープ高所作業技能講習」の修了資格は取得できないとしましょう。

試験や免許の取得状況も2段階くらい用意しましょう。費用も違いをつけて。

免許・免許。

もちろん、経験者の方や、自ら学んだり、熟練者に習ったりして、本免許一発試験一発合格なんてのもありでしょう。自前の器具持ち込み可で。

仮免許合格者は、本免許に合格するまでは、本免許取得者やロープアクセス等の熟練者の同行がなければ実作業はできないと。同行者が用意できない場合は、国や県に定められた企業や団体に依頼することができ、その費用は申請すれば半額補助されるとか。違反すれば、仮免許取り消し及び、1年間の試験受験禁止とか。

考えれば、いろいろ良い案が出てきそうですね。

どんな対策方法を取るにせよ、目的は明確です。

ロープ作業による「労働災害」を「ゼロ」にすること。

ロープ作業者の知識・技術力の底上げをすること。

「労働災害予備軍」を根絶すること。

つまり、「ロープ作業」という特殊な作業を行う許可を安易に受け渡してはならないということです。

そのような考えのもと、「可動式ワークポジショニング・ロープシステム(MW-RS)」を広めたいと思ったのです。

「それ」は、先に述べた仮の「ロープ高所作業技能講習」に確実に合格できる生徒を育成する教習所のようなものです。「その教習」の最後には技能試験を行い、合格者に終了資格を交付できるようになれば、なお良いと思ってもいます。

 

可動式ワークポジショニング・ロープシステム(MW-RS)

ロープアクセスは、もちろんのこと、ロープ高所作業において使用する器具類は、その目的は同じなれど、数々のメーカーから製造され、取り扱い方法や各器具の組み合わせなども多岐にわたります。

熟練者は、自分のスタイルや状況によって、使用ルールの範囲から外れることなく、適切に多種多様な器具類の中から選択します。

しかし、ロープ作業など未知数だった方には、器具の正しい選択方法や組み合わせなど解るはずもありません。経験者でも不適切な器具の組み合わせ・使用方法を行うことがあります。

「ロープ高所作業特別教育」のテキストには、数々の器具の具体的な使用方法や特性、適切な組み合わせ、点検方法までは記載されていません。(関係法令に沿った必要強度やそれぞれの器具の紹介はあるが)

それをテキストに記載し、現状の4時間の講習時間内に説明していくというのは、不可能に近いでしょう。

私が使用させていただいた「ロープ高所作業特別教育」のテキストに記載されている文言は「本書に画像掲載した器具については、あくまで製品例としての紹介となるが特性、使用方法、点検方法など、各製品の詳細については、販売店やメーカーに問い合わせ、確認が必要である。」と記載されています。

仕方ありませんね。

しかし、どれだけの方がメーカーに問い合わせるでしょう。

特別教育終了後、実作業に赴く人にとっては、器具の「特性、使用方法、点検方法など」も習得しておくべき重要な知識ではないだろうかと思います。

多くの「ロープ高所作業特別教育」修了者が、その器具類を自身が所属する会社が用意したものを使用し、また、「ネットで安かったから」という理由のみで器具を揃えていく場合もあります。

それぞれの「作業スタイルや使用したい器具の特性・他の器具との適切な組み合わせ」がまず先にあっての器具類の選択です。

上記のような器具の選択方法や使用状況もまた、労働災害予備軍を生んでいるように思えます。

 可動式ワークポジショニング・ロープシステム(MW-RS)では、使用する器具や装備の種類をより限定的にし、間違った器具の使用方法や組み合わせをなくしたいと思っています。

基本となる動作・手順、器具類の選択を明確にし、誤った自己流や悪気のない無知状態から起こる重篤なケガや死亡災害をなくすための手順書・説明書として、現在、テキストを編集中です。いずれ、ご紹介したいと思っています。

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 このブログでも私が実作業で使用している器具類を主として、具体的な使用方法や使用感をご紹介していきます。

初心者でも「プロフェッショナル」と呼ばれるロープ作業者になりましょう。

それは、無謀な命知らずのことではありません。

確かな知識と技術力で毎日を確実に無災害で帰ってくる人のことです。

とても長くなりましたが、これからどうぞ宜しくおねがいします。