「yotsuba-papa」の『ON』と『OFF』ブログ

『ON』では、ロープを使って仕事をする「yotsuba-papa」がもっと安全でわかりやすいロープ作業「可動式ワークポジショニング・ロープシステム」を広めていくことに奮闘しつつ、『OFF』では、かわいい息子たちと一緒にふれあう絵本やおもちゃ等を紹介していく「パパ目線」になりがちなブログです

セミスタティックロープは融ける

こんんばんわ。

よつ葉ロープシステムの「yotsuba-papa」です。

 

 

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はじめに

 

 以前、セミスタティックロープの使用上の注意点について、少し触れさせていただきました。

 

 

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その中で

「ロープとロープ、ロープとスリングとを擦り付けない。(摩擦熱により切断・融断する恐れがある)」

という文言を記載しました。

しかしながら、そんなに簡単に切れるものでしょうか?

刃物状の箇所や鋭利な角等と接触し、圧接すればロープが切断してしまうイメージは、湧きますが・・・。

融けて切れるとは・・・。

 

セミスタティックロープは何度で融断する?

 

セミスタティックロープの主な素材は、ポリアミド(ナイロン)です。

ポリアミド(ナイロン)の融解温度は、「230℃」です。

つまり、単純に考えるとセミスタティックロープは、「230℃」に達すると融けて切れてしまうということですね。

とあるメーカーのセミスタティックロープのカタログに次のような記載があります。

●カラビナを異なったスピードで通過する2本のロープの摩擦は切断するほどの熱を発します。過度のスピードでの懸垂下降やロワーダウンは避けてください。ロープが加速することにより、燃えることがあります。ナイロンの融解温度は230℃です。急激な下降の間にこの温度に達する可能性があります。

ロープ作業中にロープが燃え出す・・・。

さすがに想像すると恐ろしい状況ですね。

しかし・・私には、実感が湧きません。

私は、懸垂下降は比較的ゆっくり行う方なので、「セミスタティックロープの融断」は、自分には関係ない事柄と思えていました。

実験

 

私が今よりも、もっとお子ちゃまだった頃に先輩から頂いた、実験写真です。

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2本のセミスタティックロープを擦りあわせ 、ロープでロープを切断・融断しようとすると、どのくらいの労力が必要なのか。

さすがに長丁場な実験になりそうです。

方法は、単純。

「ピンと張った白いロープの1点に対し、青いロープを1m幅で往復して擦る」というものです。

何往復で切断できると思いますか?

切れ味の良いナイフなら、1往復半から2往復。文具のはさみの刃なら、10往復以上は必要かな。のこぎりでも5往復くらいは・・・。私の予想でした。が・・。

 

結果

 

5往復目。

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白いセミスタティックロープの径が残り半分になっています。

写真では解りにくいのですが、擦り切れているだけではなく、青いロープの外周の形と同形に白いロープが融けています。

この時点で、この白いロープは使用できないものとなってしまいました。

いや、ここまで擦り切れる以前の状態、「外皮が一部でも擦り切れた」時点でそのロープは、ロープ作業では使用できません。

カーンマントル構造のセミスタティックロープは、「外皮・内芯」とも異常なしの状態で正常なので、「内芯は潰れているが、外皮は無傷」「外皮は擦り切れているが、内芯は潰れていない」は、異常の状態です。

さて、引き続き、擦り付けていきましょう‼

5往復で半分まで来ましたので・・・

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10往復目で切断完了です。

驚きです。

手作業で、しかも、たった10往復で普段、身体を命を預けているロープが切れてしまうのです。

自分(作業者)の全体重を掛けている状態のロープならば、もっと簡単に切れてしまう想像がつきますね。

 

まとめ1

 

セミスタティックロープは思った以上に「擦れに弱く」「摩擦熱が発生しやすい」ということです。

先に記載しましたとあるメーカーのセミスタティックロープのカタログに記載されたこの文言。

●カラビナを異なったスピードで通過する2本のロープの摩擦は切断するほどの熱を発します。過度のスピードでの懸垂下降やロワーダウンは避けてください。ロープが加速することにより、燃えることがあります。ナイロンの融解温度は230℃です。急激な下降の間にこの温度に達する可能性があります。

私たちの普段のロープ作業に於いても、このことを理解しておかなければ、恐ろしい事態が発生する恐れはありそうです。

確かに、ロープが燃え出すほどロープを加速させる人はなかなかいないでしょう。

しかし、ワーキングライン(メインロープ)が硬くなったなーと思う方・・・。

そのロープの外皮、摩擦熱で少し融けて、硬くなっていませんか?

セミスタティックロープにディッセンダーをセットし行う懸垂下降は、私たちが思っているよりもっとゆっくりしたスピードで行わなければなりません。

熟練者ほど懸垂下降のスピードは、ゆっくりです。

熟練者は、使用する器具の特性・特徴に合わせて手段や動作を変えています。

経験年数は関係なく、未熟者は、まず、「自分のスタイルありき」で、器具の種類等を変えても、それを貫きます。

それが、無災害で済む事柄ならば、また別の器具に変え、自分のスタイルに合ったものに巡り合うまでそれを繰り返せば良いですね。

しかし、ロープ作業・高所作業は、災害と隣り合わせです。

いついかなる時も無災害で帰ってくるのがプロだと思っています。

その時の「器具が、状況が、環境が」危険だと判断されれば、きっぱりと作業を中止できるのも。

100%無災害。それが私の願いです。

 

まとめ2

 

さて、話は戻り、「擦れに弱く」「摩擦熱が発生しやすい」セミスタティックロープですが、それならば、セミスタティックロープは、使用しなければよいのでしょうか。

もし、そう考えるのであれば、「擦れることがなく」「摩擦熱が発生しない」ロープが開発されるのを待つのも一つの手段でしょう。

思い切って、別の方法で作業を行うのもアリでしょう。

しかし、ロープアクセスをはじめとした、可動式ワークポジショニング・ロープシステムやロープ高所作業などのロープ作業が有効的である場合も多々あると思います。

その際、用いるロープにセミスタティックロープを選択する利点と安全性は、他のロープと比べると絶大です。

セミスタティックロープが、擦れに弱く、摩擦熱が発生しやすいのであれば、「擦れないように・摩擦熱が発生しないように」取り回し・取り扱ってあげればよいのです。養生等を用いて、保護してあげればよいのです。

 

 

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要は、どのような器具も目的を達成するための充分な機能・性能を有していますが、少なからず、弱点も持ち合わせているということです。

その弱点を、使用する人間(作業者)がどのように補い、カバーするか。

器具の性能を充分に引き出すのは、使用する人次第だと思います。

弱点を充分に把握したうえで、性能を充分に引き出す使用ができるのが熟練者だと思います。

 

セミスタティックロープは、私たちの身体を支え続けてくれる働き者です。しかし、使い方を間違えると、一瞬で切れてしまいます。

そのことを念頭に置き、どうか、明日もロープに優しく、無災害で帰って来て下さい。

 

                          よつ葉ロープシステム