こんばんわ。
よつ葉ロープシステムの「yotsuba-papa」です。
多岐にわたるロープ作業方法をわかり易くするため、そして、机上でのみロープ高所作業特別教育を受講された方が、より安全に実作業に進めるために、使用する器具や装備の種類をより限定的にし、基本となる動作・手順、器具類の選択を明確にした「可動式ワークポジショニング・ロープシステム」を広めようと奮闘しています。
はじめに
今日は、ロープアクセスを代表とするロープ作業・可動式ワークポジショニング・ロープシステム等で使用する「ロープ」についてのご紹介です。
ひとことでロープと言ってもその種類や製品は様々です。
クレモナロープ・ザイル(ダイナミックロープ)・黄色と黒の標識ロープ(トラロープ)などなど、目的・用途によっていろいろありますが、今回、お話しするのは「セミスタティックロープ」です。
セミスタティックロープ
ちなみに、多くのロープアクセスや、ロープ高所作業、可動式ワークポジショニング・ロープシステムではこの図のように最低2本のロープを使用します。
作業者の体重を預けるワーキングライン(メインロープ)と俗にいう命綱にあたるライフラインは、それぞれ独立しており、使用するロープの種類が、どちらともセミスタティックロープなのです。
セミスタティックロープの規格
使用するべきセミスタティックロープの種類をちょっと小難しく下記に書いてみます。
「ヨーロッパ規格:EN1891」の「タイプA」に適合するセミスタティックロープ
- 破断強度(ノットなしの状態)・・・22kN以上
- 破断強度(ノットありの状態)※エイトノット・・・15kN以上
- 伸び率・・・5パーセント以下
ロープの太さの選択方法としては、使用するディッセンダー(下降器)及び、フォールアレスターの両方に適合する太さのロープを選択しなければならない。
例えば、使用するディッセンダーの適合ロープ径が「10~11.5mm」で、使用するフォールアレスターの適合ロープ径が「10~13mm」ならば、「10~11.5mm」の太さのロープを選択するのが望ましい。
・・・・はい。(笑) しっかりとした性能・能力のあるセミスタティックロープを使う器具に合わせた太さで選びましょうということですね。
使う器具(ディッセンダー・フォールアレスター)については、また、別の記事で書かせていただきます。
私が使用中のセミスタティックロープ 3種類の比較
ずばり、私が、ロープを選ぶ基準は、使用するディッセンダー(下降器)との相性です。
私は、climbing technology社のスパローというディッセンダー(下降器)を使用しています。
1台目も2台目も。
その器具に対して使用したセミスタティックロープは、3種類。
① Teufelberger(トゥーフェルベルガー)製のパトロン プラス(11mm)・・・下記で紹介するclimbing technology社のケイブエボや同社のワークスマンエボと比べると少し硬い印象がしました。
しかし、私自身の感想ですが、手で握った時のグリップ感や摩擦に対する耐性(ロープ外皮表面のタフさ)は、とても優れているように感じます。また、なんとなく汚れにくいロープだなーとも感じています。現在は、私の100mのロープセットにおいてライフラインとして、ペツルのアサップロックと共に墜落阻止の役目を担っています。
② climbing technology社のケイブエボ(10.5mm)・・・私が現在までに計4本使用したセミスタティックロープです。とにかく、しなやかなセミスタティックロープです。climbing technology社のディッセンダー「スパロー」との相性は、抜群でとても滑らかな操作感です。ロープにノットを作る時(結ぶ)もゴワツキがないのもこのセミスタティックロープの特徴だと思います。
ただ、私は、外皮表面が汚れやすいなと感じているロープです。その分、定期的に「おしゃれ着洗い用洗剤と柔軟剤」で手洗いをしています。
また、使用回数・使用日数が経過してくると(私の場合は8~12か月)、急激に使用感が悪くなるように感じます。洗ってもしなやかさが戻らず、まるで別の種類のロープになったような感じです。
私は、それを交換時期お知らせ機能だと思うようにしています。
③ climbing technology社のワークスマンエボ 11mm・・・上記のケイブエボとほぼ同じく、滑らかでとても扱いやすいセミスタティックロープです。しかも、ワークスマンエボ・ケイブエボとも滑らかなのに必要以上の伸び感(ぼよんぼよん感)はなく、ロープの感覚がつかみやすく操作しやすいと思います。
私が思うケイブエボとの大きな違いは3つ。
1つは、色の違い。ワーキングラインとライフラインが同じカラーのロープだと、操作ミス等を引き起こす要因となるので絶対に避けたいですね。
写真左がワークスマンエボ、右がケイブエボです。
2つ目は、手で握った時の グリップ感の良さ。ケイブエボに比べて外皮率が高い為でしょうか、11mmという太さの為でしょうか、握った時の手の平との馴染み感が抜群です。また、11mmという太さは、精神的な安心感も与えてくれますね。
3つ目は、重さ。ケイブエボとワークスマンエボ、それぞれ100mの長さでは、約800gの重さの差があります。パトロンプラス11mmと比べても、約500gの差があり、実際に使用していても、ワークスマンエボは、重量感があるように感じます。
おすすめセミスタティックロープ
上記3種類の詳細は、こちら( ↓ )の記事をご覧ください。もう1種類×3色を追加で紹介しています。
まとめ
以上、今回は、私が実際に使用中の3種類のセミスタティックロープを紹介・比較してみました。正直、この3種類のセミスタティックロープは、自信を持っておすすめできるセミスタティックロープです。
他にも、多くのすばらしいロープがあると思いますが、使用したことないロープを「これ良いよー」とは書けませんので、たった3種類の紹介で申し訳なく思っています。
ただ、これは絶対に守ってください。
この記事の前半にも記しましたが、セミスタティックロープを選ぶ時は、
「ヨーロッパ規格:EN1891」の「タイプA」に適合するセミスタティックロープ
- 破断強度(ノットなしの状態)・・・22kN以上
- 破断強度(ノットありの状態)※エイトノット・・・15kN以上
- 伸び率・・・5パーセント以下
であることを必ず確認すること。
困ったときは、上記3種類のセミスタティックロープを試してみてください。
宜しくお願いいたします。
よつ葉ロープシステム